ニュースの要点
日本医療機能評価機構は1月27日、薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業の「共有すべき事例2025年No.1」を公表した。
- 分包紙の印字が一因となった服用間違い:にシタフロキサシン錠50mg「サワイ」[調剤]
- 本事例は、患者の家族が分包紙の印字をみて、処方された用量の2倍の薬剤を患者に服用させた事例である。
- 薬剤を粉砕して交付した場合、患者や家族などは分包された薬剤やその量を目視で確認することが難しいため、分包紙に印字する内容は重要である。
- 本事例の改善策には、錠剤を粉砕する際は、分包紙の印字を用法のみにするか、薬剤名も印字するかは患者の状況に応じて判断すると記載されている。本来は、分包紙内の薬剤の薬剤名、錠数、服用時点などの情報を印字することが望ましいが、分包紙に印字できる文字数は限られているため、処方内容や患者の服用・生活状況を考慮したうえで印字内容を選択する必要がある。
- 併用禁忌:ゾコーバ錠125mg[疑義照会・処方医への情報提供]
- ゾコーバ錠125mgには併用禁忌の薬剤が多数存在する。ゾコーバ錠125mgが処方された際に、併用禁忌を見逃さないために、併用禁忌薬の一覧表や、製薬企業が提供する薬物相互作用検索ツールなどを活用することは有用である。
- 発熱外来は通常の診療環境と異なる点が多く、医師の負担は大きい。薬剤師が患者の使用・服用するすべての薬剤を把握し、併用禁忌に該当する薬剤がないか確認することは重要である。
- 本事業の第30回報告書(2024年3月公表)では、「経口新型コロナウイルス感染症治療薬に関する事例」を取り上げ、ゾコーバ錠125mgなどの事例について分析を行った。疑義照会や処方医への情報提供に関する事例では併用禁忌、投与量、用法、病態禁忌に関する事例を分析し、処方監査時に確認すべき事項や主な事例を紹介している。
- 受診勧奨:ドルマイシン軟膏(第2類医薬品)の購入を希望[一般用医薬品等]
- 糖尿病性足病変は、医師による治療が必要であり、患者が自己判断で市販薬による対処を行ったり、そのまま放置したりした場合、重症化する恐れがある。薬局で足病変のケアに関する医薬品の購入相談を受けた場合は、患者の現病歴を確認することが薬剤師の役割として重要である。
- 糖尿病を治療している患者が足病変を発症した場合は、糖尿病の治療を担当している医師に皮膚の状態を診察してもらい、必要に応じて皮膚科などの専門医を紹介してもらうよう、患者に説明する必要がある。また、状況に応じて薬剤師から糖尿病の治療を担当している医師へ情報提供を行うことが望ましい。
- 糖尿病患者が合併症のひとつである糖尿病性足病変に対する適切な治療を受けられるように、薬剤師は、糖尿病治療薬を交付する際に、患者にフットケアの重要性を説明し、下肢に異常があれば医師や薬剤師に相談するよう指導することが、早期発見や対策に有用である。



(https://www.yakkyoku-hiyari.jcqhc.or.jp/pdf/sharing_case_2025_01.pdf)