ニュースの要点
厚生労働省は12月17日、「今般の感染状況を踏まえた感染症対症療法薬の安定供給について(協力依頼)」とする事務連絡を発出した。
新型コロナウイルス感染症等の対症療法薬として使用される解熱鎮痛薬、鎮咳薬(咳止め)、去痰薬、トラネキサム酸については、現時点において、昨年同時期以上の出荷量を確保することは可能であり、また、感染状況等に応じて、在庫の放出等により更に出荷量を昨年同期の約1.2倍まで増加させるよう調整することも可能な状況となっている。
しかし、感染症の流行状況を見ると、インフルエンザ及び新型コロナウイルス感染症の定点当たりの報告数は増加傾向にあり、今後想定される感染拡大にも対応できるよう対策を行う必要がある。
さらに、今年度は、マイコプラズマ肺炎及び手足口病の定点当たりの報告数が過去5年間の同時期の平均と比較してかなり多い状況であり、これらの感染症全てに対応するためには、昨年以上の感染症対症療法薬の確保が必要な状況となっている。
そのため、別添の「今般の感染状況を踏まえた感染症対症療法薬の増産について(協力依頼)」(令和6年12月17日医薬産業振興・医療情報企画課事務連絡)において、医薬品の製造販売業者に対して感染症対症療法薬の増産を要請しているが、増産には一定のリードタイムが必要となるため、今後感染症の急激な流行が見られた場合には、増産された医薬品の出荷が始まるまでの間、感染症対症療法薬の需給が逼迫するおそれがある。
このような状況について、限られた医療資源を必要な患者に適切に供給できるよう、感染症対症療法薬が安定的に供給されるまでの間、下記について周知を依頼した。
周知依頼(抜粋):
- 医療機関及び薬局におかれては、感染症対症療法薬について、過剰な発注を控えていただき、当面の必要量に見合う量のみの購入をお願いしたいこと。
- その際、卸売販売業者におかれては、今冬における各医療機関等への感染症対症療法薬の販売量については、各医療機関及び薬局における昨年同期の入荷量の約 1.2 倍を上限量の目安としていただき、感染症対症療法薬の適切な配分に努めていただきたいこと。
- 医療機関におかれては、感染症対症療法薬については、感染症の治療に当たって初期からの長期処方を控えていただくほか、喘息等の感染症以外の呼吸器疾患の治療に対する過剰な長期処方についても可能な限り控えていただく等、医師が必要と判断する患者への最少日数での処方に努めていただきたいこと。また、その際に残薬の有効活用についても併せてご検討いただきたいこと。
- 薬局におかれては、処方された感染症対症療法薬について、自らの店舗や系列店舗だけでは供給が困難な場合であっても、地域の薬局間における連携により可能な限り調整をしていただきたいこと。