ニュースの要点
厚生労働省は6月21日、「第18回 高齢者医薬品適正使用検討会」を開催し、「地域における高齢者のポリファーマシー対策の始め方と進め方(案)」を示した。
目次
ポリファーマシー対策の進め方:(薬剤師関連・抜粋)
- ポリファーマシーの概念を確認する
- 多剤服用とは、単に服用する薬剤数が多いことを指す。
- ポリファーマシーとは、単に服用する薬剤数が多いことではなく、それに関連して薬物有害事象のリスク増加、服薬過誤、服薬アドヒアランス低下等の問題につながる状態であり、何剤からポリファーマシーとするかについての厳密な定義はない。
- ポリファーマシー対策の目的を確認する
- 高齢者は加齢による生理的な変化や複数の併存疾患を治療するための医薬品の多剤服用等によって安全性問題が生じやすい状況があることから、薬物療法の適正化(薬物有害事象の回避、服薬アドヒアランスの改善、過少医療の回避)を目指し、高齢者の特徴に配慮したよりよい薬物療法を実践して問題の解消・改善を図ることがポリファーマシー対策の目的である。
- 地域でポリファーマシー対策を進めるためには、地域全体で処方意図や医療機関退院後の方針について地域で共有することが必要になる。そのため、地域包括ケアシステムにかかわる医療関係者・介護関係者との連携までを地域におけるポリファーマシー対策の取組として捉えることが望ましい。
- ポリファーマシー対策を推進する担当者を決める
- 地域全体でポリファーマシー対策を推進するためには、地域のポリファーマシーの実行を推進する「地域ポリファーマシーコーディネーター」を定めることが効果的と考えられる。担当者としては、中核病院の地域連携室等に所属する医療従事者や地域の薬剤師会に所属する薬剤師等が考えられる。
- この担当者は、自治体や地域の医師会・中核病院などの、地域医療を中心的に推進する主体の理解を得ながら、地域でのポリファーマシー推進のあり方を検討し、それを実行する役割を担う。また地域の薬剤師会や看護や介護の関係団体、保険者などとの連携を深める役割を担うことも望まれる。
- 個別の患者に対して、地域でのポリファーマシー対策を実施する際には役割分担(役割の重複を防ぐのではなく、役割に気づいてもらうことが目的)と連携が必要である。この際、個別の患者のポリファーマシー対策の中心となる「薬剤調整を支援する者(薬剤調整支援者)」の役割について、地域の医療従事者等の理解を図ることが効果的と考えられる。
- 自治体や保険者がポリファーマシー対策に関わる
- 地域包括ケアシステムを担う医療・介護関係者等との連携体制をつくる
- デジタル技術を活用してポリファーマシー対策を進める
- 費用について考慮する