ニュースの要点
厚労省は5月10日、日本薬剤師会が作成した「緊急避妊薬のスイッチOTC化に係る環境整備のための調査事業」結果報告書を公表した。
緊急避妊薬については、現在のところ、医師の処方箋が必要な医療用医薬品であるが、アクセス向上の観点から、医師の処方箋なしで薬局等において購入できるようにすることの要望を踏まえ、医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議において、医療用医薬品から要指導・一般用医薬品への転用の検討がなされてきた。
具体的には、平成29年にはスイッチOTC化は時期尚早と結論づけられたが、令和2年12月の第5次男女共同参画基本計画において、処方箋なしに緊急避妊薬を利用できるよう検討することが盛り込まれ、さらに令和3年5月にOTC化を望む市民団体からの新たな要望を受け、再度議論が開始された。その後、OTC化する場合の課題や対応策について検討・整理を重ね、令和5年6年にとりまとめが行われ、検討・整理された緊急避妊薬のスイッチOTC化の課題の対応策について、その選択・採否にあたり、一部薬局での試験的運用を通じ、更なるデータ・情報の集積が望ましいとされた。
令和5年度事業の結果(抜粋)
- 2023年11月28日~2024年1月31日の販売実数は「2,181」。都道府県により販売数量にばらつきがあり、東京・神奈川では200超を販売していたものの、山口・島根・山形・秋田・青森では1桁の販売数であった。
- 服用者アンケート調査では、「薬剤師の対応」「説明のわかりやすさ」「プライバシーへの配慮」への満足度は高い一方で、「支払った費用」の満足度は低い傾向にあった(本研究では7~9千円の範囲内で各薬局において設定)。ただし、この傾向は医師の処方を受けた者でも同様に見られた。
- 服用者アンケート調査での、「今後、緊急避妊薬の服用が必要になったらどうしたいか」との設問には、約8割の者が「医師の診察を受けずに、薬局で薬剤師の面談を受けてから服用したい」と回答した。
