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薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業No.10(2024年)【日本医療機能評価機構】

ニュースの要点

日本医療機能評価機構は10月25日、薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業の「共有すべき事例2024年No.10」を公表した。

  1. 禁忌:ディフェリンゲル0.1%[疑義照会・処方医への情報提供]
    • アダパレンを含有する外用薬の尋常性ざ瘡治療薬には、ディフェリンゲル0.1%の他に、後発 医薬品や過酸化ベンゾイルとの配合剤であるエピデュオゲルが販売されており、いずれも 妊婦又は妊娠している可能性のある女性に禁忌である。
    • 尋常性ざ瘡は、思春期以降に発症する毛包脂腺系の慢性炎症性疾患であり、若い世代の患者に発症することが多い。妊娠可能な年代の女性にアダパレンを含有する製剤が処方された場合は、妊娠または妊娠している可能性を確認したうえで調剤を行う必要がある。
    • 妊娠している患者の中には、内服薬の胎児への影響に関して意識は高くても、外用薬は影響がないと思い込み、医師や薬剤師に妊娠している事実を伝えない患者がいる。妊娠可能な年代の女性にアダパレンを含有する外用薬が処方・された際、薬剤師は患者に、妊婦または妊娠している可能性のある女性は使用できないことを説明し、薬剤使用中に妊娠した場合あるいはその可能性が生じた場合には使用を中止し、医師に知らせるよう、説明を行うことが重要である。
  2. 患者に不適切な剤形(吸入薬):イナビル吸入粉末剤20mg[疑義照会・処方医への情報提供]
    • 本事例は、小児の患者にイナビル吸入粉末剤20mgが処方された際、薬剤師が、吸入確認用の笛を用いて患者が吸入できるか確認し、吸入薬の使用は難しいと判断したため、内服薬への変更を処方医に提案した事例である。
    • イナビル吸入粉末剤20mgが初めて処方された患者には、吸入方法を指導し、正しく吸入できるかを確認する必要がある。患者が吸入できるか確認する際は、製薬企業が提供している吸入確認用の笛などを活用することが有用である。
    • 吸入薬の他にも、医療技術の進展により、さまざまな特徴を持つ外用薬が次々と発売されている。薬剤師は、患者が処方された薬剤を使用できるか見極め、使用が困難な場合は、薬剤の変更を提案することも重要である。
  3. インクレチン関連薬の重複:マンジャロ皮下注2.5mgアテオス[疑義照会・処方医への情報提供]
    • マンジャロ皮下注アテオスは2023年4月に販売が開始された、世界初の持続性GIP/GLP-1受容体作動薬である。
    • マンジャロ皮下注アテオスが処方された際は、GLP-1受容体やGIP受容体を介した血糖降下作用を有するインクレチン関連薬との重複に注意する必要がある。作用機序が同じである他のGLP-1受容体作動薬だけでなく、DPP-4阻害薬との重複についても確認することが重要である。
出典:日本医療機能評価機構ホームページ
https://www.yakkyoku-hiyari.jcqhc.or.jp/pdf/sharing_case_2024_10.pdf

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