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帝国データバンクは12月9日、『「医薬品小売事業者」の倒産動向』を公表し、調剤薬局やドラッグストアの倒産が過去10年で最多となり、また経営者の高齢化、医療機関の倒産増加も深刻としている。
ドラッグストア、薬店、調剤薬局の経営や配置薬事業などを手がける、医薬品小売事業者の2024年の倒産件数は11月までに34件発生した。負債総額は143億9800万円となり、過去10年で最多・最大となった。このままのペースで推移すれば、年間件数は37件前後となる見通し。
高齢化による調剤医療費の増加に伴い、薬局数も増え続けている。厚生労働省によると、全国の薬局数は2023年度末時点で6万2828施設と、2013年度末以降の10年間で5757施設増加しており、業者間の競争は激化している。
経営者の高齢化も深刻だ。帝国データバンクが、全国約3900名の医薬品小売事業者を対象に経営者年齢の分布を調査したところ、60歳以上が全体の62.2%を占めた。さらに、調剤薬局と密接な関係にある医療機関(病院・診療所・歯科医院)の倒産は11月までに57件発生し、過去最多だった2009 年(通年で52件)をすでに上回った。今後も調剤薬局を中心とした医薬品小売事業者の競争が続くなか、経営者の高齢化がより深刻化することで、倒産のみならず休廃業・解散の件数も増加していくとみられるとしている。