ニュースの要点
厚生労働省は12月16日、「高額療養費制度の在り方に関する専門委員会」において、「高額療養費制度の見直しの基本的な考え方」を取りまとめ公表した。
目次
基本的な考え方:抜粋
【高齢化の進展や医療の高度化等により増大する医療費への対応】
- 高額薬剤の開発・普及等を背景に医療費全体が増大する中において、医療保険制度はもとより、高額な医療を必要とする状態になった場合における極めて重要なセーフティネット機能である高額療養費制度を将来にわたって堅持していくためには、制度の不断の改革に取り組んでいかなければならない。
- 高額療養費制度を取り巻く上記の課題や将来への制度の継承を確かなものとするためには、近年の医療費の伸び等に一定程度対応した形での自己負担限度額の見直しを行っていくことの必要性は理解する。
【年齢にかかわらない応能負担に基づく制度の在り方】
- 所得区分を細分化(住民税非課税区分を除く各所得区分を、例えば3区分に細分化)し、所得区分の変更に応じて限度額ができる限り急増又は急減しないようにする制度設計とすることが適当である。
- また、70歳以上の高齢者のみに設けられている外来特例については、加齢に伴って疾病リスクが増すことにより受診機会が増えることの多い高齢者の特性を踏まえると、制度の必要性自体は理解できるものの、医療費全体が増加している中で、現役世代の保険料負担軽減という観点からも、制度の見直し自体は避けられないという方向性で概ね一致した。具体的には、月額上限・年額上限のそれぞれについて、応能負担という視点を踏まえた限度額の見直しを行うとともに、外来特例の制度創設から20年以上が経過する中で、制度創設当時と比較して健康寿命が延伸していること、また、受療率も低下していること等を考慮すれば、医療保険部会における高齢者の負担の在り方の議論の状況を踏まえた上で、対象年齢の引き上げも視野に入れて検討すべき
【セーフティネット機能としての高額療養費制度の機能強化】
- 長期にわたって継続して医療費負担が嵩む長期療養者の方に配慮し、多数回該当の限度額については現行水準を維持するべき。
加えて、仮に多数回該当以外の限度額を見直した場合、限度額(例えば、現在の月80,100 円+医療費の1%)に到達しなくなり、その結果、長期療養が必要であるにもかかわらず多数回該当から外れてしまう方が発生するため、そのような方の医療費負担が過重なものとならないよう、新たに患者負担に「年間上限」を設けることも考えられ、高額療養費の限度額に該当しない方も含めて制度の対象とすることも検討すべき。


