LINE登録で「薬剤師が知っておくべき情報まとめ」を配信中詳しくはこちら

薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業No.12(2023年)【日本医療機能評価機構】

ニュースの要点

日本医療機能評価機構は12月25日、薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業の「共有すべき事例2023年No.12」を公表した。

  1. 外観が類似した薬剤の戻し間違い:カロナール錠500[調剤]
    • 本事例は、薬剤調製時に生じたPTPシートの端数を、誤って他剤の箱に戻したことにより、別の患者の薬剤調製時に取り違えが起きた事例。
      ※本事業には、調製時にカロナール錠500とメトホルミン塩酸塩錠500mgを取り違えた事例が、2020年4月1日~ 2023年10月31日に33件報告されている。
    • カロナール錠500とメトホルミン塩酸塩錠500mgMT「ニプロ」は、薬剤名は似ていないが、劇薬であること、規格が500mgであること、錠剤の形状が楕円形であること、外箱とPTPシートに緑色が使われていることなどの共通点から、誤認識する可能性が考えられる。
    • PTPシートを取り扱う際は、シートの表裏を1枚ずつ確認する必要がある。外観イメージにとらわれずにシートに記載されている薬剤名を確認することが重要である。
    • 本事例では、調剤監査支援システムを用いたことで、薬剤の取り違えに気付いた。取り違えた薬剤の交付を防ぐには、目視による確認だけでなく、調剤監査支援システムなどの機器を用いることも有用
    • 本事例には、錠剤を戻し間違えたことが取り違えが起きた要因として記載されている。薬剤棚や箱への戻し間違いを防ぐには、薬剤を戻す際に複数人で確認する、調剤時以外の時間帯に作業するなどの対策を講じる必要がある。
  2. 同じ名称で組成が異なる漢方製剤への変更:ツムラ柴胡加竜骨牡蛎湯エキス顆粒(医療用)[疑義照会・処方医への情報提供]
    • 本事例は、処方されたツムラ柴胡加竜骨牡蛎湯エキス顆粒(医療用)の入手が困難であった際、クラシエ柴胡加竜骨牡蛎湯エキス細粒への変更を処方医に提案した事例。薬剤師は処方変更を提案する際、漢方製剤の組成を確認せず、処方医の処方意図を考慮しなかった。
    • 漢方製剤は、名称が同じであっても、製薬企業によっては組成が異なる場合がある。医療用医薬品の柴胡加竜骨牡蛎湯は、ツムラ以外の製剤はダイオウを含有しており、下痢、軟便のある患者や妊婦、授乳婦など、特定の背景を有する患者への処方に注意する必要がある。
    • 処方された漢方製剤が出荷制限等により入手できず、薬剤師から薬剤の変更を提案する場合は、製剤の組成や患者の状況などを確認したうえで、処方医に対して適切な情報提供や処方提案を行うことが重要である。
  3. 名称類似薬の処方間違い:アスペノンとアスベリン[疑義照会・処方医への情報提供]
    • 本事例は、患者から聴き取った症状から、薬剤師が名称が類似していて薬効が異なる薬剤の処方間違いを疑い、疑義照会を行った事例。
      ※本事業には、アスベリンとアスペノンの処方間違いに気づき疑義照会を行った事例が2020年4月1日~ 2023年10月31日に69件報告されている。
    • 誤った薬剤の交付を防止するには、処方間違いや薬剤の取り違えが起きやすい薬剤について、定期的にスタッフに注意喚起する、処方マスタの薬剤名に薬効分類名を追記する、薬品棚等に「名称類似注意」の札を取り付けるなど、具体的な対策を講じることが重要である。

詳細は以下の資料をご確認ください。

出典:日本医療機能評価機構ホームページ
https://www.yakkyoku-hiyari.jcqhc.or.jp/pdf/sharing_case_2023_12.pdf

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

  • URLをコピーしました!
目次