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薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業No.5(2023年)

ニュースの要点

日本医療機能評価機構は5月30日に、薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業の「共有すべき事例2023年no.5」を公表した。

  1. 計量間違い:インクレミンシロップ5% 「調剤」
    • 活性成分である鉄の量として処方箋に記載されていたインクレミンシロップ5%の1日量を、薬剤師が有効成分の溶性ピロリン酸第二鉄の量と認識し計量した事例。製剤名の「5%」は、有効成分である溶性ピロリン酸第二鉄の含量(50mg/mL)を表しており、活性成分である鉄の含量(6mg/mL)ではないことにも注意が必要である。
    • ガイドラインや治療指針等では、小児への鉄剤の投与量は有効成分の量ではなく活性成分である鉄の量で示されていることがある。そのため、薬剤師は、鉄剤が製剤量や有効成分の量ではなく活性成分である鉄の量で処方される可能性に留意して、処方監査や計量、鑑査を行う必要がある。
    • 本事例では、患者の家族から聴取した情報から、薬剤師は処方は正しいと思い込んでいた。処方の妥当性を判断する際は、患者や家族から聴取するだけではなく、処方医に確認することが、間違った調剤の防止につながる。
  2. 副作用の回避:ブチルスコポラミン臭化物錠10mg「ツルハラ」「疑義照会・処方医への情報提供」
    • 薬剤師がお薬手帳に挟んであった緑内障連絡カードのチェック欄を確認し、疑義照会した事例。患者が救急外来を受診した場合、患者情報の確認が不十分なまま処方箋が発行される可能性に留意し、薬剤師はより一層注意深く情報収集する必要がある。
    • 今回の事例では、薬剤師が緑内障連絡カードをお薬手帳の目立つ場所に挟んで患者に返却した。薬剤師が患者にお薬手帳や緑内障連絡カードを適切に活用するように促すことは、薬物 事例の 療法の安全性を高めるために有用である。
  3. 併用禁忌:フロリードゲル経口用2%「疑義照会・処方医への情報提供」
    • 処方医がフロリードゲル経口用2%は吐き出せば併用禁忌に該当しないと考えた可能性のある処方について、薬剤師が製薬企業に問い合わせて入手した情報をもとに疑義照会した結果、処方が変更になった好事例。薬剤師が安全な薬物療法を患者に提供するためには、正確な情報に基づいて処方医に疑義照会を行うことが肝要である。
    • 薬剤師は、処方医から患者に指示された薬剤の使用方法が添付文書や診療ガイドライン等に記載されていない場合は、その有効性や安全性について製薬企業に確認するなど、広く情報を収集して適切に対応する必要がある。
    • 医師が処方設計する際に適切な判断を行えるよう、薬剤に関する有用な情報を提供しサポートすることは、薬剤師の重要な役割のひとつである。

詳細は以下の資料をご確認下さい。

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