ニュースの要点
AMR臨床リファレンスセンターは8月6日に、「全国抗菌薬販売量2023年調査データ」を公開した。
薬剤耐性が世界的な問題として取り上げられ、わが国でも2016年に「薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン2016-2020」が策定され、2023年に「薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン2023-2027」に更新された。新旧アクションプランに基づき様々な取り組みがなされているが、引き続き抗菌薬の使用量のサーベイランスを継続的に実施することが求められている。今回はあらたに2023年までの全国抗菌薬販売量データを公開した。
結果の総括
昨年発表された薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン(2023-2027)では、成果指標として、 2027年までに人口1,000人あたりの一日抗菌薬使用量(DID)を2020年の水準から15%減少させること、経口第三世代セファロスポリン系薬は40%、フルオロキノロン系薬は30%、マクロライド系薬は25%、注射カルバペネム系薬は20%削減することが挙げられています。
2020年以降はCOVID-19への感染対策が徹底して広く行われた結果、急性気道感染症の罹患が減り、診療所を受診する患者が減少したことも抗菌薬の使用量減少に影響した可能性が考えられます。 COVID-19による行動制限が解除された2023年は抗菌薬の使用量は2020年と比べて増加という結果でした。しかしいくつかの諸外国で報告されている2020年以前の使用量よりも増加ということは見られませんでした。今後のさらなる調査を行い、抗菌薬適正使用推進に活かしていくことが必要と考えています。