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薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業No.7(2025)【日本医療機能評価機構】

ニュースの要点

日本医療機能評価機構は7月25日、薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業の「共有すべき事例2025年No.7」を公表した。

  1. 薬剤取り違え:イニシンク配合錠[調剤]
    • 本事業には、一般名処方マスタに記載されていない薬剤が一般名処方された際に、薬剤を取り違えた事例が報告されている。本事例のイニシンク配合錠とメトアナ配合錠は、2025年5月現在、後発医薬品が販売されておらず、厚生労働省の作成する一般名処方マスタに記載されていない薬剤である。
    • 一般名処方された薬剤の取り違えを防ぐためには、入力者、調製者ともに、処方箋に記載された有効成分の名称を一文字ずつ確認する必要がある。継続中の薬物治療であっても、前回と同じ薬剤が処方されたと安易に判断せず、慎重に処方監査を行うことが重要である。
    • 本事例では、イニシンク配合錠の用法として「1回1錠1日2回」が不適切であることに薬剤師が気付けていたら、薬剤の取り違えを防げた可能性がある。配合剤の取り違えを防ぐためには、一般的名称と販売名、用法、用量などを整理した一覧表を作成し、処方内容と照合しながら処方監査・調製・鑑査を行うことが有用である。
  2. 説明不足:ブロチゾラムOD錠0.25mg「テバ」[調剤]
    • 薬剤の包装変更があった場合、交付時に薬剤の外観が変わったことを伝え、今まで服用していた薬剤と同じ薬剤であり、効能・効果や有効成分および含量は変わらないことを患者に説明する必要がある。
    • 本事例では、薬剤の包装変更について薬局内での情報共有に不備があったことが要因として挙げられている。薬局で業務を行うすべてのスタッフが患者に必要な情報を漏れなく提供できるよう、包装変更があった際には薬剤棚に「包装変更品:〇年〇月〇日(変更年月日)」等の注意喚起の掲示を行い、該当の薬剤を服用している患者の薬剤服用歴に包装変更ありと記載し、包装変更品を交付する際は交付日を記録するなどの具体的な対策を定めて業務手順書に記載し、遵守することが重要である。
    • 包装変更品を初めて交付する際は、口頭での説明だけでなく、製造販売業者が提供する患者用お知らせカード等の資材を積極的に活用し、患者が自宅でも確認できるようにする必要がある。
  3. 配合剤の規格間違い:カデュエット配合錠[疑義照会・処方医への情報提供]
    • 本事例は、カデュエット配合錠の規格が変更になった際、患者から処方変更の経緯を聴取した薬剤師が、規格の処方間違いの可能性を考え、疑義照会を行った事例である。
    • カデュエット配合錠は、アムロジピンの含有量が1番と2番、3番と4番で同じであり、アトルバスタチンの含有量は1番と3番、2番と4番が同じである。配合剤の規格が変更された場合は、有効成分の含有量を比較してどの成分が増量あるいは減量になっているのかを確認する必要がある。そのうえで、患者から処方変更の背景を聴取し、処方内容の妥当性を検討することが重要である
    • 配合剤の有効成分の含有量の違いを示す表記は、カデュエット配合錠は「数字」+「番」であるが、この他にアルファベットの組み合わせ(APとBP、LDとHD、MDとEX)などがある。薬剤棚に有効成分の含有量を掲示することや、配合錠の比較表を作成して鑑査台に設置することなどは、有効成分の含有量の確認をスムーズに行うために有用である。

詳細は以下の資料をご確認ください。
※時間の経過とともに、出典元の資料が閲覧不可能になった場合は、リンクで飛べなくなります。ご了承ください。

出典:日本医療機能評価機構ホームページ
https://www.yakkyoku-hiyari.jcqhc.or.jp/pdf/sharing_case_2025_07.pdf

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