ニュースの要点
日本保険薬局協会(NPhA)は10月30日、一般用医薬品及び要指導医薬品の取扱いや、相談応需・受診勧奨等の実態把握のために調査した報告書をまとめ公表した。
〇調査結果Summary
近年、国民のセルフメディケーションへの関心が高まり、地域における健康サポートの拠点として保険薬局・薬剤師に求められる役割はますます重要となっている。こうした背景を踏まえ、本調査では、薬局・薬剤師によるセルフメディケーション支援の実態を定量・定性の両面から把握することを目的とした。
調査の結果、保険薬局における一般用医薬品及び要指導医薬品の現在の平均取扱品目数は73.9品目であった。その一方で、1年以上販売実績のない、いわゆるデッドストック品目が平均22.1品目にのぼる実態も明らかとなり、特に、地域支援体制加算を届出している薬局においてデッドストック品目数は多い傾向がみられた。また、処方せん受付回数が少ない薬局では取扱品目数も少ない傾向にあり、狭小な薬局における陳列・備蓄スペースの課題も推察された。
さらに、地域支援体制加算の届出薬局等に求められる「基本的な48薬効群」に焦点を当てると、薬効群によって販売実績に大きな差がある実態が浮き彫りとなった。2025年7月の1ヵ月間で販売実績があった割合が30%を超えたのは、加算届出薬局全体ではわずか3カテゴリーに留まった。これはドラッグストア併設薬局においても同様であり、半数以上の分類においてニーズが乏しい実態が見えたといえる。
今回の調査結果は、多くの薬局が販売実態と乖離した在庫を抱える現状を明確に示した。患者や顧客の求めに応じて、たとえ備蓄していない医薬品であっても受注販売や他薬局・店舗販売業の紹介等を通じて速やかな入手方法を提案することは、薬局の重要な責務である。この責務を前提としたうえで、実効性の乏しい「48薬効群の一律備蓄」から、「地域医療のニーズや、薬剤師の専門的な知見に基づき推奨する品目を備蓄する」という、より柔軟で実効性の高い仕組みへの転換が必要である。当協会は、本報告書を通じて、関係各所と連携し、制度提言と実効的な支援の実現に取り組んでいく。
※7月の1ヵ月間で販売実績があった割合が30%を超えた3カテゴリー:
・解熱鎮痛薬(69.3%)
・かぜ薬(内用)(38.0%)
・一般点眼薬、人工涙液、洗眼薬(30.9%)の3カテゴリーのみとなった。



