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薬局ヒヤリ・ハット事例報告・分析事業No.11【日本医療機能評価機構】

ニュースの要点

日本医療機能評価機構は11月25日、薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業の「共有すべき事例2025年No.11」を公表した。

  1. 病態禁忌:ラロキシフェン塩酸塩錠60mg「サワイ」[疑義照会・処方医への情報提供]
    • 本事例は、薬剤師が薬剤服用歴に記録された処方歴および既往歴を確認した際、ラロキシフェン塩酸塩錠が禁忌に該当することに気付き、処方医に疑義照会して、処方の適正化につなげた事例である。
    • イグザレルト錠15mgは、静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症)の治療及び再発抑制の他に、非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制にも使用される薬剤であり、ラロキシフェン塩酸塩錠の禁忌に該当する疾患は静脈血栓塞栓症のみである。
    • 薬剤師は、患者が服用している薬剤やこれまでに服用してきた薬剤から現病歴や既往歴を推測するが、複数の効能又は効果のある薬剤があるため、患者から現病歴や既往歴の確認を行うことが重要である。さらに、得られた情報は薬剤服用歴に記録して活用できるようにする必要がある。
  2. 投与量:カロナール錠500[疑義照会・処方医への情報提供]
    • アスピリン喘息は、アスピリンおよびその類似成分により、気道狭窄症状(鼻閉、喘息など)を呈する非アレルギー性の過敏症である。アスピリン喘息又はその既往歴のある患者に解熱鎮痛薬が処方された際には注意が必要である。
    • 2023年10月にカロナール錠の添付文書が改訂され、禁忌から「アスピリン喘息(非ステロイド性消炎鎮痛剤による喘息発作の誘発)又はその既往歴のある患者」が除外され、「用法及び用量に関連する注意」にアスピリン喘息又はその既往歴のある患者に対する1回あたりの最大用量の記載が追加された。
    • 薬剤師は日頃から添付文書やインタビューフォーム、診療ガイドラインなどを活用して薬剤に関する情報を正しく理解しておくことが重要である。添付文書の改訂があった際は、改訂された内容を把握するとともに、改訂の理由や背景などについても理解する必要がある。
  3. 禁忌:乾燥弱毒生水痘ワクチン「ビケン」[疑義照会・処方医への情報提供]
    • 本事例は、訪問診療に同行した薬剤師が医師に情報提供を行い、禁忌となるワクチンの接種を防止した好事例である。在宅医療の現場では、薬剤などの情報がすぐに入手しにくい環境下にあることから、薬剤師が同行し、医師に情報提供を行うことは有用である。
    • 免疫不全・免疫機能低下者に生ワクチンを接種するとワクチンウイルスの感染を増強あるいは持続させる可能性があるため、免疫抑制作用のある副腎皮質ステロイド薬や抗リウマチ薬、抗悪性腫瘍薬による治療を受けている患者は、生ワクチンの接種が受けられないことに注意する必要がある。
    • 2025年度から予防接種法が一部改正され、65歳の者などが帯状疱疹ワクチンの定期接種の対象となった。定期接種対象の年齢に近い患者が免疫抑制作用のある薬剤を服用している場合は、帯状疱疹ワクチンを接種する際の注意点を予め説明し、服用している薬剤を医師に伝えることの重要性について理解を促しておくことが望ましい。

詳細は以下の資料をご確認ください。
※時間の経過とともに、出典元の資料が閲覧不可能になった場合は、リンクで飛べなくなります。ご了承ください。

出典:日本医療機能評価機構ホームページ
https://www.yakkyoku-hiyari.jcqhc.or.jp/pdf/sharing_case_2025_11.pdf

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