ニュースの要点
日本医療機能評価機構は12月25日、薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業の「共有すべき事例2025年No.12」を公表した。
- 残薬調整後の処方漏れ:メトホルミン塩酸塩錠500mgMT「DSPB」[疑義照会・処方医への情報提供]
- 本事業には、残薬を調整するため処方から薬剤を削除した後、次回の処方時に患者が本 来服用すべき薬剤の処方漏れが起きた事例が継続して報告されている。
- 残薬調整のために処方から削除された薬剤は、お薬手帳やオンライン資格確認等システムの処方情報に記録が残らないため、患者が継続して服用している薬剤を他の医療機関の医師が正しく把握できず、誤って同効薬や相互作用のある薬剤を処方した事例も本事業に報告されている。
- 残薬を調整する目的で一時的に処方から薬剤が削除された場合は、削除された薬剤名や理由などを、電子薬歴システムの申し送り欄に明記しておくとともに、お薬手帳にも記載しておくことが望ましい。
- 残薬調整のために処方から削除された薬剤が次回の調剤時に処方再開されていない場合は、患者の残薬を確認し、処方が必要と判断された際は速やかに処方医に疑義照会を行う必要がある。
- 薬剤師は定期的に残薬の有無を確認し、残薬がある場合はその要因を把握することが重要である。残薬が生じる背景に患者の服薬コンプライアンス・アドヒアランスの問題がある場合は、患者に服薬の意義を伝えるとともに、薬剤や用法などの処方変更や一包化調剤などの対応を処方医に提案し、服薬コンプライアンス・アドヒアランスの向上のため継続的な服薬支援を行うことが重要である
- 投与量:スピロノラクトン錠50mg[疑義照会・処方医への情報提供]
- 薬剤交付後に処方医から受けた用法・用量の変更や服薬中止の指示は、薬局のレセプトコンピュータの処方履歴には反映されないことから、薬局で対応した内容とともに薬剤服用歴などに記録を残しておく必要がある。
- 薬剤交付後に処方医から用法・用量の変更や服薬中止の指示があった際の薬局での対応から記録、次回調剤時の確認までの一連の作業について手順を定め、手順書に記載して薬局スタッフ全員で遵守することが重要である。
- 本事例のように、訪問診療では複数の医療機関・診療科の医師が関与するケースが見られる。患者の状態の変化や処方内容、薬局での対応を一元的に管理・共有するには、以下の方法を組み合わせて対応することが有用である。
- 電子薬歴システムの申し送り機能を活用し、申し送り事項が自動的に表示されるよう設定を行う。
- 電子薬歴システムとは別に、申し送り事項を記載した患者ファイルを作成する。
- 患者ごとに担当薬剤師を決めておく。
- ICT情報連携ツールなどを活用して、在宅医療に関わる複数の職種で情報を共有する。
- 医療用医薬品との重複:ロキソニンS[一般用医薬品等]
- ロキソニンSをはじめとするロキソプロフェン製剤は、本事業が収集する一般用医薬品等の販売に関する事例に最も多く報告される薬剤である。
- 本事例は、薬剤師が購入者の持参したお薬手帳を確認して医療用医薬品のロキソプロフェンNa錠60mgを服用していることを把握し、有効成分が重複するロキソニンSの販売を中止した好事例である。
- 一般用医薬品や要指導医薬品を適切に販売するには、使用者の症状、現病歴・既往歴、併用薬などの情報を収集し、販売する薬剤の禁忌事項に該当しないか、服用している医療用医薬品との重複や相互作用がないかなどを確認する必要がある。
- 本事例のように、一般用医薬品や要指導医薬品を販売する際に確認するべき内容をまとめたチェックシートを作成し活用することは、適切な販売を行ううえで有用である。
- 薬局の手順書にチェックシートの活用を加えるなど、販売に携わる薬局のスタッフが必要な情報を漏れなく収集し適切に販売するための体制を日頃から整えておくことが重要である。



(https://www.yakkyoku-hiyari.jcqhc.or.jp/pdf/sharing_case_2025_12.pdf)


