ニュースの要点
東京都健康長寿医療センターは3月23日、「アルツハイマー病の新薬「レカネマブ」、全国2,600人超を調査」を発表した。
【発表のポイント】
- 日本の医療現場で治療を受けた2,672人の患者データをまとめた論文が掲載されました。これは、実社会におけるデータとしては世界最大規模の報告となります。本研究成果はエーザイ株式会社がレケンビの承認条件として実施している特定使用成績調査(全例調査)によるものです。この全例調査はレケンビを投与したすべての医療機関の協力を得て実施されており、当センターの岩田淳医師が医学専門家として中間集計結果を発表しています。
- 懸念される副作用である「脳のむくみや微小な出血」の発生率は7.1%でしたが、その大部分は無症状であり、重い症状に至ったケースはごくわずかでした。
- 点滴に伴う発熱などの反応は17.0%に見られましたが、多くは初めて点滴を受けた直後に起こり、数日以内に回復しています。
- 治療開始から半年(28週)が経過した時点での治療継続率は約93%と高く、多くの患者さんが安全に治療を続けられていることが確認されました。
【調査結果の概要】
全国の医療機関でレカネマブの点滴を受けた2,672人(平均年齢76.0歳、軽度認知障害の方が約6 割)について,治療開始から28週間の安全性データを中心に解析しました。
- 脳の画像に現れる変化(ARIA:アミロイド関連画像異常)
アミロイドβを取り除くお薬に特有の副作用として、脳のむくみ(ARIA-E)や微小な出血(ARIA-H)が起きることがあります。- 脳のむくみ: 3.0%の方に見られましたが、重篤なケースはなく、大部分はご本人の自覚症状がありませんでした。
- 微小な出血など: 5.2%の方に見られました。1cm以上の出血を伴う重篤なケースは2名(0.1%)にとどまり、それ以外の大部分は無症状でした。
- 点滴時の反応
点滴中やその直後に、発熱、頭痛、悪寒などが起こることがあります。全体の17.0%の方にこうした反応が見られましたが、その多くは1回目の点滴後に集中していました。また、約8割のケースでは3日以内に症状が回復・改善しています。 - 治療の継続状況
副作用への懸念がある一方で、定期的なMRI検査で安全を確認しながら治療を進めることで、開始から半年(28週)時点での治療中止率は7.3%にとどまりました。92.7%という多くの方が治療を継続できています。



