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調剤補助者研修のあり方について【ウィズサポ@教育支援 川村和美】

著者

川村和美

【プロフィール】
博士(薬学)/ 修士(教授システム学)/経営倫理士/インストラクショナルデザイナー
ウィズサポ@教育支援HP:https://wisuppo.hp.peraichi.com/

【学歴・研究歴】
1995年3月 名城大学薬学部薬学科卒業

【職歴】
2020年12月(株)ジョヴィ 人材育成・教育支援室 室長
2021年6月 松本保険薬局事業協同組合 教育アドバイザー(兼務)
2022年3月(株)ILコントラクトパッケージング 医薬品製造管理者
2022年4月 ILホールディングス 顧問

【著書】
「医薬品の製品寿命を延ばす製剤工夫・包装改良の具体的ポイント」分担執筆第12章,技術情報協会(2017)
「薬剤師のための判断力向上講座」全12回,PharmaTribune(2018-2020)→書籍化,薬事日報社(2022)予定

平成31年4月2日に「調剤業務のあり方について」という厚生労働省通知が出され(0402通知)、非薬剤師による調剤補助業務の実施が認められました。とはいえ、誰でも補助してよいわけではなく、調剤業務に関する手順書の整備と薬事衛生上、必要な研修の実施が必要とされています。

今後、行政側の監査や指導で広がるというより、薬学管理料に注力して行かなければ、薬局経営がますます難しくなってくるという点で、経営側が求める流れから調剤補助者向けの研修は拡大すると予測されます。選ばれる薬局となるためには自店で優秀な調剤補助者を育成し、薬剤師の対人業務を充実させることが喫緊の課題だからです。質の高い調剤補助者の勤務する保険薬局では、薬剤師が患者さんへの服薬説明や健康相談の応需に十分時間をかけることができます。

0402通知を受けて、調剤補助者向けの集合研修やオンラインによる研修がいくつかの組織から提供されましたが、いずれもピッキングと薬事関連法規の解説を中心とした内容です。医療の担い手の一員として調剤補助を行うには、調剤補助業務を習得するだけでなく、薬を扱うことの責任感や倫理観、薬剤師と協働・連携することの重要性をしっかりと理解して臨む必要があります。

調剤補助業務に携わるには、制度やガイドライン等による変更、調剤報酬の改定に応じた最新の知識を身につけておく責任がありますが、集合研修のスタイルでは指定日時に繰り返し参加なければなりませんので、地域格差が問題になるとともに受講者の負担が大きいというデメリットがあります。オンラインの研修は利便性が高い一方、作りっぱなしになる傾向があります。

そんなとき、松本保険薬局事業協同組合様の方より「調剤補助者を育成したいけれど、既存の研修は高すぎてとても利用できない」「自分達で調剤補助者を育成するなんて可能でしょうか?」「先生のお力をお貸しいただけませんか?」という切実な声が上がりました。

全国の保険薬局が調剤補助業務全般を網羅した研修プログラムを、リーズナブルに利用できることになれば、保険薬局の薬学的サービスはより充実するはずです。それによって国民がメリットを享受できれば、それは国家資格の社会還元となるでしょう。

この様な経緯から、調剤補助者養成講座を立ち上げました。

調剤補助者養成講座の27コンテンツの内容について、主な項目の紹介をさせていただきます。

倫理で学位を受与された私なりのこだわりから、⑥法令遵守のコンテンツでは、薬事関連法規の説明のみならず、調剤補助者には守秘義務が課されていることや情報漏洩は保険薬局の信頼が損なわれることを説明しています。⑦安全確保のコンテンツでは、医薬品は一般消費財とは異なり、飲む量や飲み方間違えたり飲む人が違ったりすると、患者さんの命を脅かすことがあるため薬を取り扱う責任の重大さを説明し、ミスの予防策や過誤発生時の対応について例示しています。⑧使命感・倫理観のコンテンツでは、専門職に倫理が求められる理由を解説し、調剤補助者にも同様に倫理観が求められることを説いています。

さらに、保険薬局という“医療提供施設”に勤務するスタッフとして、患者対応時に求められるビジネスマナーや言葉遣いも一定レベルのスキルを身につけ、実践できることが望ましいでしょう。さらに企業の階層別研修のノウハウを組み入れ、同講座には、①社会人の働き方、②適切な言葉遣い、③社会人のマナーのコンテンツを設け、採用間もない、もしくは学び直しを希望される調剤事務はもちろんのこと、入職時の薬剤師の研修や学生実習にもご活用いただける内容としました。

同講座は制度やガイドライン等の変更や、改定時に随時コンテンツを差し替えています。配信しっぱなしが多いオンラインプログラムの中、常に現行の制度に沿ったきめ細かい内容であるという点も、安心して学習できる重要なポイントです。

今後、行政が推進する電子処方箋とオンライン服薬指導に切り替われば、調剤基本料と薬学管理料は必然的に分かれます。配送会社の倉庫に間借りして営業する保険薬局が出て来た現在の状況から、ヒト・モノ・カネが分離する時代はそれほど遠くないのかもしれません。薬局薬剤師DXが進むにつれて、調剤補助者のニーズと業務が精査され、登録販売者のような“資格”として確立すれば、調剤補助者にとっても国民にとっても、更に安心感が高まるでしょう。

受講した調剤補助者が自信を持って業務を遂行し、薬剤師の対人業務を充実させることによって国民が薬局の価値を享受できるようにするためにも、コンピテンシーに基づいて設計した同講座の考え方が広く共有され、より良い薬局環境へと発展していくことを期待しています。

調剤補助者養成講座の紹介
当講座のコンテンツは、eラーニングの視聴を必須としておりません。“理解していることに講義の必要は無い”という教育工学の考え方に沿って、いずれのコンテンツもテストから受講できます。

eラーニングを視聴してからテストを受けるという従来の方法でももちろん構いませんが、まずテストから挑戦し、間違えた箇所を確認するために該当コンテンツを視聴する、という方法で学習を進めていただいても構いません。テスト問題は300題からランダム出題されるCBTのような作り込みになっていますので、違った角度、違った問題として出題された問題に正解できれば、十分に理解していると太鼓判を押すことができます。

申込先メール:pharmapal.entry@gmail.com
TEL:080-3717-6318
FAX:0532-66-3455

松本保険薬局事業協同組合
長野県松本市本庄2-4-1 フォーラム本庄2階
TEL:0263-39-2551 FAX:0263-35-9393
(担当者 那須野 俊清)

調剤業務のあり方について 厚生労働省(2019年4月2日)

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