ニュースの要点
厚生労働省は4月27日、第12回「医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会」を開催し、有識者検討会報告書骨子(案)を示した。
骨子(案)は、「課題と要因」・「目指す姿と対策例」で構成されている。
「課題と要因」
- 供給不安:
供給不安の発生・長期化は、主に後発品市場で生じており、その背景・原因には、後発品の制度特性やその産業構造が大きく影響 - ドラッグラグの増加・ドラッグロスの発生の懸念:
欧米では承認されているが国内未承認の医薬品(いわゆるドラッグ・ラグ)が近年増加傾向にあり、令和5年3月時点で 143 品目との報告あり。このうち国内での上市を予定していない開発未着手のものが 86 品目(未承認薬のうち 60.1%)あり、ドラッグ・ロスが発生する懸念があるとの指摘 - 創薬力の低下:
日本の医薬品産業の国際競争力が低下。国内市場の売上シェアは外資系企業が内資系企業を上回る状況。貿易収支では輸入超過による赤字がさらに拡大 - サプライチェーン・流通取り引きの課題:
- サプライチェーンリスク:
地政学上のリスク等に加え、倉庫火災など、安定供給に支障を及ぼす様々な供給リスクが顕在化。後発品の出荷停止等により医療機関・薬局の現場における混乱を招いている。これによって、卸売販売業者における需給調整業務の負担が増加し、流通現場の逼迫状況が続いている状況にある - 流通取引の課題:
現在は、一部の取引において、医療上の必要性に関わりなく、過度の薬価差が発生するといった薬価差の偏在が課題。市場実勢価方式による薬価改定が行われる中、取引条件の違いによる購入価格のばらつきも存在。調整幅については、薬剤流通の安定のためのものとされてきたが、20年以上変更が行われていない中で、流通実態との乖離している可能性
- サプライチェーンリスク:
「目指す姿と対策例」
- 特許期間満了医薬品分野:後発品・長期収載品
- 創薬・新薬分野:創薬力の強化・ドラッグ・ラグ、ドラッグ・ロスの解消
- サプライチェーン・流通取引:サプライチェーンの強靱化・流通取引の改善
- その他全体的課題について