ニュースの要点
厚生労働省は6月6日、「第13回 医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会」を開催した。
検討会では有識者検討会報告書(案)が事務局から示された。
ポイント
検討会では、革新的医薬品の日本への早期上市や医薬品の安定的な供給を図る観点から、現状の課題を踏まえ、流通、薬価制度、産業構造など幅広い議論を実施してきた。議論のとりまとめとして、以下の対策を提言する。
安定供給の確保
【主な課題】
後発品を中心として、多くの品目が出荷停止等の状況。背景には、小規模で生産能力も限定的な企業が多い中、少量多品目生産が行われるといった後発品産業の構造的課題が存在している。
創薬力の強化
【主な課題】
日本起源品目の世界市場シェアが低下するなど、我が国の創薬力が低下。新たなモダリティへの移行に立ち遅れる等、研究開発型のビジネスモデルへの転換促進が必要な状況にある。
ドラッグ・ラグ/ドラッグ・ロスの解消
【主な課題】
欧米では承認されている143品目が日本で未承認。うち、国内開発未着手のものが86品目あり、ドラッグ・ロスが懸念される。開発未着手品目は、ベンチャー企業発、希少疾患用医薬品、小児用医薬品の割合が多い。
適切な医薬品流通に向けた取組
【主な課題】
- 薬価差は、①取引条件等の違い(例えば都市部と離島の配送コスト)から必然的に発生するものと②薬価差を得ることを目的とした値下げ交渉により発生するものがある。
- 現在は、医薬分業の進展とともに、取引主体が医療機関から薬局にシフトしている。
- こうした中で、チェーン薬局・価格交渉を代行する業者の大規模化により価格交渉力を強め、経営原資を得ることを目的に、医薬品の価値に関わりなく前回改定時と同じベースでの総価値引き交渉が行われていることなど、薬価差を得る目的での取引が増加。一部で過度な薬価差の偏在が課題となっている。
- 特に⾧期収載品や後発品は、品目数が多いことから、価格交渉の実務的な負担を減らす観点から、総価取引が行われることが多く、値引きの際の調整に使用されるため、薬価の下落幅が大きくなっている。