ニュースの要点
日本総合研究所は8月31日、「公的医療保険制度の持続可能性に関する国⺠調査」の結果を発表した。
調査背景・目的
新型コロナウイルスの流⾏により、「かかりつけ医機能などの地域医療の機能が⼗分作動せず総合病院に⼤きな負荷がかかるという課題に直⾯した」。そして、医療機関が⼊院患者を受け⼊れられないケースが多数発⽣し、医療がひっ迫する状況が続いた。また、新型コロナウイルスに対する海外の治療薬やワクチンが⽇本に⼊ってくるのが遅れる、あるいは⼊ってこないという状況が発⽣し、“ドラッグラグ・ドラッグロス”といった問題にも焦点が当たった。その中で、かかりつけ医を含めた“医療提供体制”のあり⽅が問われるようになった。
公的医療保険制度については、⽇本の国⺠全員が加⼊しており、年齢や所得などに応じて 1~3 割の費⽤負担で医療を受けることができる。しかし、近年急速な⾼齢化による医療費の増⼤などにより、国⺠が⽀払う公的医療保険の保険料率は上昇している。⼀⽅で、保険料のみでは増⼤する医療費を賄いきれないため医療費の財源として「借⾦に頼っており、私たちの⼦や孫の世代に負担を先送りしている状況」である。医療サービスの内容(給付)と医療費として使⽤する財源(負担)について、この”給付と負担”のバランスを検討する必要がある。
これら”医療提供体制”や“ドラッグラグ・ドラッグロス”、”給付と負担”といった問題は、国⺠の健康や経済に⼤きな影響を及ぼす重要な問題である。そのため、世代を超えて、国⺠全体で議論していくことが⽋かせない。そこで、研究チームは”医療提供体制”、”給付と負担”および“ドラッグラグ・ドラッグロス”の観点で、国⺠が期待していることなどを定量的に把握し、議論を深めるために、調査を実施した。