ニュースの要点
日本総合研究所は8月31日、「公的医療保険制度の持続可能性に関する国⺠調査」の調査結果概要を発表した。本調査は、持続可能で質の高い医療提供体制構築に向けた研究チームが、「健康・医療政策コンソーシアム」の活動として、公的保険医療保険制度の持続可能性に関する議論を深めるため、国民調査を実施したものとなる。
【調査結果の要点】
- 現在、国民の81%が医師の診療に満足している。しかし、現在、過労死ラインを越えて働く医師は一定以上おり、医師の働き方改革は待ったなしの状態である。これに対して、多くの国民は医師の業務負荷軽減に協力したいと考えている。
→特に、「健康維持」や「医療情報の共有」に協力することで医師への業務負荷を軽減したいという声が多数上がった。
→医師の業務負荷を軽減するため、家族の状況も相談できるなど、国が提唱する役割を担うかかりつけ医を持つことが推奨されている。しかし、国民の多くはそのようなかかりつけ医を持っていないことが明らかになった。 - 71%の国民は、公的医療保険制度を維持するにあたって、政府が「医療情報の連携」「安価な治療方法の推奨」「重症化予防の推進」といった医療の効率化に取り組むことを前提に、国民の負担増を議論してよいと考えている。
→このような医療の効率化に取り組んでいるという前提において、増加する負担は高齢者を含む国民全体で引き受け、高齢者の負担は預貯金などの金融資産の保有状況もふまえて検討すべき、という意見が多く挙げられた。
→給付の見直しについては、国民の約半数が湿布、塗り薬および解熱剤などの市販薬として入手可能な薬を、公的医療保険の対象から外すべき、と考えている。
→希少疾患やがんなど生命に危険が及ぶ病気の薬は公的医療保険の対象とすべき、という声が70%を超える。 - 海外に遅れることなく、最新の薬を公的医療保険の範囲で使いたいという国民の声が多いものの、現在起きているドラッグラグ・ドラッグロスの問題を国民の約75%が知らない現状が明らかになった。