ニュースの要点
日本パブリックアフェアーズ協会は10月2日、『偽造医薬品横行の個人輸入問題と、スイッチOTC医薬品推進のための5つの提言』を発表した。
サマリー(抜粋)
政府はセルフメディケーションの推進に向けて「スイッチOTC医薬品の加速」を改革の方向性として挙げている。しかし、2023年現在においても、日本は国民皆保険制度の充実と医療機関へのフリーアクセスによって、患者が軽微な不調でも医療機関を受診しやすい環境が整えられていることを背景に、全医薬品の中でOTC医薬品が占める割合が6.9%とG7の中でも最低であり、その進捗は芳しくない。その結果、医療財政の逼迫や医療機関における外来対応時間の増大、適切なタイミングでの医薬品へのアクセス阻害等様々な問題が生じている。
スイッチOTC化促進の進捗が芳しくない理由:
- スイッチOTC医薬品に関する政府目標やロードマップが存在していないこと。
- 「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」で議論するべき論点が不明確であること。目的とはそぐわない論点が多く取り上げられることが、議論の進行を妨げていると考えられる。
- 評価検討会議における審議期間が決まっていないこと。その結果、たとえば緊急避妊薬の議論は評価検討会議で通算約6年間も行われている。
今後スイッチOTC医薬品を推進する上で課題になるであろう点:
- 日本ではOTCを推進する上での課題や解決策について議論を交わす場がないため、OTC医薬品に関するエビデンスの共有や蓄積がされにくく、OTC医薬品の有効活用に関する日本の方針が不明確なままになっているという課題。
- 医療用医薬品の処方の際にOTC医薬品の服用を加味した治療を行う環境が整っていないことで、併用禁忌である医療用医薬品を処方してしまう可能性があるという課題。
5つの提言:
- スイッチOTC医薬品 ロードマップ委員会を設置及び、スイッチOTC医薬品に関するKPIやロードマップを早期に策定
- 評価検討会議の運用を見直し(検討目標タイムテーブルを導入/KPIを達成するために議論すべき論点の明確化/要望書の提出から議論開始までの期限設定)
- OTC医薬品データベースの構築
- セルフメディケーション税制と連動したOTC医薬品お薬手帳の作成
- 日本OTC医薬品学会の創設