ニュースの要点
厚生労働省は3月23日、抗結核薬について、医薬品の品質、有効性及び安全性に関する情報の収集、調査、検討等を踏まえ、重要な基本的注意を「本剤を含む抗結核薬による治療で、薬剤逆説反応を認めることがある。治療開始後に、既存の結核の悪化又は結核症状の新規発現を認めた場合は、薬剤感受性試験等に基づき投与継続の可否を判断すること」と速やかに使用上の注意を改訂し、医薬関係者等への情報提供等の必要な措置を講ずるよう周知を依頼した。
改訂の理由及び調査の結果(PMDA)
一部の抗結核薬の米国添付文書が改訂されたことを契機に、薬剤逆説反応の注意喚起の必要性を検討した。症例の因果関係評価及び使用上の注意の改訂要否について、専門委員の意見も聴取した結果、以下の点を踏まえ、全ての抗結核薬を対象に使用上の注意を改訂することが適切と判断した。
- 抗結核薬による薬剤逆説反応は、結核治療を行う医療従事者には既に知られている事象であり、抗結核薬と薬剤逆説反応との因果関係が否定できない国内症例においても、本事象への対処に特段の問題は認められなかったものの、近年の結核の低蔓延化に伴い、結核指定医療機関以外においても結核治療を行う状況や結核治療経験の少ない医療従事者の増加が予想されること
- 抗結核薬による薬剤逆説反応の機序は、結核菌の菌体に対するアレルギーによるとの考えが支持されており、本事象は結核治療の経過中に抗結核薬の種類によらず発現する可能性があること