ニュースの要点
日本産婦人科感染症学会は12月7日、「伝染性紅斑(リンゴ病)の流行について」を公表して、妊婦へリンゴ病の感染への注意を呼びかけました。
一般的に子供がかかりやすいと言われている感染症ですが、大人もかかるリスクがあります。症状と対策を理解して感染を防ぎましょう。
伝染性紅斑(リンゴ病)とは?
伝染症紅斑はヒトパルボウイルスB19による感染症で、小児を中心にみられる流行性の発しん性の病気で、両頬がリンゴのように赤くなることから、「リンゴ病」と呼ばれることもあります。
感染した人のくしゃみや咳のしぶきからの飛沫感染、または感染した人と同じ道具を使って自分の粘膜に直接ウイルスを運ぶ接触感染によって感染すると言われています。
潜伏期間が約10〜20日あるとされており、発熱や風邪の症状が見られ、その後両頬に赤い発疹(紅斑)が現れます。
紅斑は1週間程度で消失します。
予防・対策
リンゴ病を予防するワクチンや、特定の治療法はありません。
紅斑が現れる7日〜10日前の風邪症状の時期に感染力があるため、風邪の流行時期にはマスクを着用したり(咳エチケット)、こまめな手洗いうがい等の基本的な感染対策をすることが大切です。
妊娠中または妊娠の可能性がある場合
パルボウイルスB19によるリンゴ病(伝染性紅斑)は4〜5年周期で流行し、最近では2015年、2019年に流行がありました。2024年の秋ごろより関東を中心に流行が見られ、2025年は全国的な流行危惧されますので注意が必要です。
「妊婦さんはパルボウイルス B19 によるリンゴ病(伝染性紅斑)に注意しましょう。」日本産婦人科感染症学会より
日本人妊婦の抗体保有率は、20〜50%とされ、妊婦が初めて感染した場合は、6%が流死産や子宮内胎児死亡となり、4%は胎児貧血や胎児水腫を起こします。
これまで伝染性紅斑に感染したことのない女性が妊娠中に感染した場合、胎児にも感染し、胎児水腫などの重篤な状態や、流産のリスクとなる可能性があります。熱や倦怠感が出現した後に発疹が出るなど、リンゴ病らしき症状ある場合は、すぐに医療機関に相談しましょう。また、感染しても症状がない場合(不顕性感染)もあるため、周囲に伝染性紅斑の人がいる場合は、妊婦健診の際に、医師に伝えてください。
大人のパルボウイルスB19感染は症状だけでは診断が難しいことがあります。感染が心配な妊婦さんは、医療機関で抗体検査や超音波検査を受けることもできます。
伝染性紅斑の家族がいる場合や、流行している地域で多くの小児と接する職業の方は、かぜ症状がある方との接触をできる限り避け、手洗いやマスクの着用などの基本的な感染予防を行ってください。