ニュースの要点
日本医療機能評価機構は3月30日、薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業の「共有すべき事例2026年No.3」を公表した。
- 戻し間違いによる薬剤取り違え:にシダキュアスギ花粉舌下錠5,000JAU[調剤]
- 本事例は、薬剤を調製し直した際に不要となった薬剤を別の薬剤の棚に戻したことにより、その後の患者の調剤時に薬剤取り違えが発生した事例である。調製者および鑑査者は、調製の前段階である薬剤棚への薬剤の補充や返却の際に間違いが起きる可能性があることを認識し、「薬剤棚に入っている薬剤は正しい」という先入観を排除して調製および確認作業を行う必要がある。
- 薬剤の戻し間違いを防止するために、業務が立て込んでいる場合はすぐに棚へ戻さずに決めた場所に一時保管すること、薬剤を棚へ戻す際は一人で行わずに別のスタッフによる確認を必須とすることなどを手順に組み込む、さらに、GS-1コードを用いた調剤監査支援システムを使用するなど、手順およびシステムの両面から対策を実施することが重要である。
- 本事業の第34回報告書(2026年3月公表)では「内服薬の取り違えに関する事例-外観の類似に関連した事例-」を取り上げて分析した。取り違えの要因として外観が類似していることが報告された内服薬の組み合わせ、薬剤の保管・配置状況、発見時の状況などを整理し、主な事例の内容や薬局から報告された改善策などを紹介している。
- 処方医への不適切な情報提供(投与量):ジヒドロコデインリン酸塩散1%「ホエイ」[疑義照会・処方医への情報提供]
- 本事例のように、薬剤の在庫不足や昨今の医薬品卸業者からの入荷困難などの状況から、 処方医へ代替薬への変更を依頼する場合がある。その際、薬剤師は正確かつ適切な情報提供を行う必要がある。
- ジヒドロコデインリン酸塩とコデインリン酸塩はいずれもコデイン類含有医薬品であり、 ジヒドロコデインリン酸塩は、コデインリン酸塩より強い鎮咳・鎮痛作用を持つ。
- 本事例では、薬剤師は処方医に代替薬を提案した後に、ジヒドロコデインリン酸塩散1%と コデインリン酸塩散1%の標準的な用法・用量の違いに気付き、処方医へ説明し直している。処方医に代替薬を提示する際は、薬剤師は事前に情報を確認し、製剤的特性や標準的な用法・用量などを十分に理解したうえで、患者の病態や服薬アドヒアランスに合致した 適切な処方提案を行うことが重要である
- 配合変化:オゼックス点眼液0.3%[疑義照会・処方医への情報提供]
- オゼックス点眼液0.3%は、他の点眼液と併用した場合に、有効成分であるトスフロキサシンの溶解度が低下し、白濁や結晶析出といった配合変化を起こす可能性がある。
- 配合変化により眼内でオゼックス点眼液0.3%の白濁・結晶化が起きた場合、薬効の減弱のみならず、不溶性粒子による眼刺激、異物感、角膜損傷などを招くおそれがある。オゼックス 点眼液0.3%が処方された際には、患者に配合変化を起こす可能性のある点眼液が処方されていないか、患者がすでにそれらの点眼液を使用していないかを確認する必要がある。
- 処方医は疾患の治療に注力し、製剤の配合変化については考慮できていないこともある。 薬剤師は製剤学的知見に基づき、薬理作用だけでなく物理化学的な配合変化にも着目した処方監査を行うことが重要である。



(https://www.yakkyoku-hiyari.jcqhc.or.jp/pdf/sharing_case_2026_03.pdf)


