ニュースの要点
厚生労働省は7月13日、第12回「薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会」を以下の議題にて開催した。
- 「薬局薬剤師の業務及び薬局の機能に関するワーキンググループとりまとめ~薬剤師が地域で活躍するためのアクションプラン~」について
- 検討会とりまとめへの対応状況等(薬剤師確保・卒後臨床研修)について
- 「6年制課程における薬学部教育の質保証に関するとりまとめ(素案)」(文部科学省)について
検討会とりまとめへの対応状況等(薬剤師確保・卒後臨床研修)では、「薬剤師確保のための調査・検討事業(令和3年度予算事業)」と、「地域における効果的な薬剤師確保の取組に関する調査研究(令和3~4年度厚生労働行政推進調査事業)」の実施内容と結果が公表された。
薬剤師確保のための調査・検討事業
- 薬剤師の偏在の実態
- 地域偏在
県内で地域偏在が生じている都道府県がある。都道府県と都道府県病院薬剤師会・薬剤師会の間で、薬剤師不足の把握状況や認識にギャップがみられた - 従事先業態の偏在(病院・薬局)
薬剤師数の充足状況に対する認識(充足感)について、不足していると回答した割合は、病院(全体)では64.8%、薬局(全体)では41.2%であった - 従事先業態の偏在(病院属性別)
国公立・公的病院は医療法人と比較して、また、高度急性期・急性期機能の病院は回復期・慢性期機能の病院と比較して、薬剤師の不足を認識する病院の割合が高かった - 従事先業態の偏在(病院・薬局の規模別)
病院では病床規模が大きいほど、薬局では処方箋応需枚数が多いほど、薬剤師の不足を認識する病院の割合が高くなる傾向がみられた - 薬剤師の不足により生じている弊害
薬剤師の時間外勤務が増えていた(病院・薬局)
病院では病棟業務・チーム医療への参画に支障があると回答
薬局では在宅対応・地域での多職種連携に支障があると回答
- 地域偏在
- 薬剤師の偏在の要因
- 地域偏在
都市部での就業指向(業務内容・給与水準・研修機会等を重視)地方部出身の薬剤師数
薬剤師の偏在状況に係る情報の不足 - 従事先業態の偏在
病院・薬局間の給与水準の格差・働き方への対応・キャリアプラン・知識不足への不安
- 地域偏在
- 薬剤師の偏在への対応策
- 偏在状況の把握
都道府県での対応に資するため、統一的・客観的に薬剤師偏在の度合いを示す指標の検討 - 偏在への対応
薬剤師が不足する地域・業態で従事する薬剤師の増加の向けた対応
経済的な対応・制度的な対応・人材育成・活用・情報提供・アピール・勤務条件/環境の改善・診療報酬上の対応 - 他で勤務する薬剤師による支援
- 人手不足解消の一助としての業務の効率化
- 偏在状況の把握
地域における効果的な薬剤師確保の取組に関する調査研究
- 大学における薬剤師偏在に係る取組や教育の実施状況
- 回答のあった大学64校のうち28校(44%)で、薬剤師の不足地域・業態への就業を促す取組や地域医療に関する教育が実施されている・・地方部にある大学が20校(71%)
- 就職説明会・相談会の開催、薬剤師不足県・地域での実務実習、地域医療に関する教育、薬剤師不足の県・地域・病院・薬局の求人とのマッチングの取組等の取組が実施
- 就職決定先と決定要因(薬学5・6年生アンケート)
- 就職先は、保険薬局 (35%)が最も多く、次いで病院 (32%)、ドラッグストア(19%)
就職先決定の決め手は、業務内容・やりがいが(33%)と最も多く、勤務予定地(13%)、給与水準(12%)
- 就職先は、保険薬局 (35%)が最も多く、次いで病院 (32%)、ドラッグストア(19%)
- 薬学生の奨学金利用状況(薬学5・6年生アンケート)
- 奨学金を利用している学生は(35%)で、 返済総額の平均は650万円、1000万円以上(6%)
- 薬学生の薬剤師不足地域への就業意向
- 薬剤師の不足地域に卒直後に就職する意向がある学生は(30%)、意向なしと回答した学生のうち(46%)は将来的に地方部で勤務する意向があると回答
- 将来的にも地方部の就職を希望しない理由として、その他(地元が都市部、都市部に居住したい、交通の利便性等) (67%)、次いで業務内容・やりがい (9%)、給与水準(5%)
- 薬学生の病院への就業意向
- 卒業後直ちに病院に就職することを希望しない理由は、給与水準 (48%)、業務内容・やりがい(15%)、夜勤の有無や条件(6%)
- 高度急性期・急性期病院への就職を希望(内定)している学生のうち、将来、回復期病院や慢性期病院へ行って地域医療に貢献したいと考える学生は(76%)
卒後研修に対する提案・課題