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「骨太の方針」に向けて財政制度等審議会・財政制度分科会が開催【財務省】

ニュースの要点

財政制度等審議会・財政制度分科会が5月11日に「財政総論(補足)」・「財政各論③:こども・高齢化等」を議題として開催された。

「財政各論③:こども・高齢化等」の医療関連項目については以下となっている。

  • 新型コロナと今後の医療費
  • ポストコロナにおける医療機関の役割分担
  • 医薬品と産業構造
  • 医療機関の偏在について
  • 医療DXについて
  • その他の課題

「薬局関連」(抜粋)

◎調剤を扱う薬局の状況:
医師の処方した処方箋に従い調剤を扱う薬局については、近年、薬局数が大幅に増加。また、薬学部定員も大幅に増加。薬局の立地をみると、診療所・病院の近隣・敷地内(いわゆる「門前薬局」との指摘)が大半。
薬剤師数が増えて、薬剤師1人当たりの処方箋枚数が減少する中でも、処方箋1枚当たりの技術料が上昇し、薬剤師1人当たりの技術料の水準は維持されている。

◎「対人業務」への真の意味でのシフトの必要性:
かねてより厚労省は薬剤師について、医師に処方された薬の調製・交付などの「対物中心の業務」から、処方内容を確認し、医師への疑義照会などにより重複投薬・相互作用等の防止、患者への服薬指導など、「対人業務」へのシフトを目指してきた。
しかし、例えば、多剤・重複投薬にかかる患者や医師との調整を評価する調剤報酬は、極めて少ない算定回数にとどまっている。また、2022年度改定では対人業務の評価体系の見直しが行われたが、既存の点数の一部を表面上対人業務と整理したことにとどまっている。

◎リフィル処方箋:
令和4年度診療報酬改定における大臣合意では、リフィル処方箋の導入・活用促進による医療費効率化効果を改定率換算で▲0.1%(医療費470億円程度)と見込んでいた。
まずは、リフィル処方箋の普及促進に向けて周知・広報を図るべきである。あわせて、積極的な取組を行う保険者を各種インセンティブ措置により評価していくべきである。
さらには、薬剤師がリフィル処方箋への切替を処方医に提案することを評価する仕組みや、例えばOTC類似薬については、薬剤師の判断でリフィルに切り替えることを認めることなど検討すべきである。

「医療」(抜粋)

◎ようやく進み始めたコロナ特例からの「正常化」:
コロナ特例からの「正常化」については、最後に医療分野の特例が大きく残っている状態。今般(5月8日~)、感染症法上の分類が季節性インフルエンザと同じく「5類」とされたことに伴い、3年にわたって続いてきた診療報酬の特例的な上乗せ、病床確保料、ワクチン接種支援などが縮減されることとなった。

◎最近の医療費の動向:
新型コロナ初年度である2020年度は患者数の減少等により医療費(=医療機関の収入)は一時的に落ち込んだが、それ以降は、コロナ前を上回るペースで医療費は増大。
この3年間、巨額の国費(補助金等)が医療機関に交付されており、病床確保料、ワクチン接種支援だけでも過去3年間で5兆円に上ると見込まれる。

◎医療費における更なる課題:
昨年10月には一定以所得以上の後期高齢者に2割負担が導入されたが、これを更に進め、原則2割負担とすることも今後の課題ではないか。

◎我が国の医療費の高さ:
我が国の医療保険制度は、患者側が受診コストを意識しづらく、医療機関側は患者数・診療行為数が増えるほど収入が増えるという構造。
我が国の医薬品費等GDP比や1人当たり医薬品費等は先進国の中で極めて高い。

◎グローバル市場における企業規模について:
世界の大手製薬企業の売上高を見ると、日本企業と比較して、多くの場合1ケタ以上の差がある状況。特にワクチン開発については、多額の費用と一定の期間が必要なことから国内市場だけで採算をとることは難しい一方、グローバル市場は欧米各社の寡占状態。グローバル市場における企業規模の問題を考えていく必要。
グローバル市場への輸出によって稼げるよう、産業競争力を獲得する必要がある。

◎保険給付範囲の見直しの方向性:
単価が高額な医薬品の収載が増えており、今後の医療技術の進歩に伴い、さらに保険財政への影響が大きい医薬品が出てくることも想定される。
保険給付がいまのままでは保険料や国庫負担の増大が避けられない。基本的には、公的医療保険の役割は大きなリスクをシェアするということであり、それを前提に考えるべき。諸外国の動向をみると、高額な医薬品について費用対効果を見て保険対象とするか判断する、医薬品の有用性が低いものは自己負担を増やす、あるいは、薬剤費の一定額までは自己負担とする方向性が考えられ、早急な対応が必要。

「医療DXについて」(抜粋)

◎「全国医療情報プラットフォーム」について:
現状、国民本人及び医療機関・薬局(本人の同意が前提)は、薬剤情報や特定健診情報などのレセプト情報や電子処方箋情報について閲覧可能。さらに、国民本人は予防接種情報、自治体検診情報等の閲覧が可能。
今後は、本人同意の下で、情報共有が可能となる主体に自治体や介護事業者等を追加する予定。また、共有する情報に電子カルテ情報や予防接種情報等を追加する予定

◎医療DX利活用等による医療費適正化:
医療DXについて、単に患者データを集約・共有するだけでなく、より質の高い、効率的な医療につなげることが重要である。
すでに、マイナンバーカードの健康保険証活用を通じて、医療機関は患者の過去の診療・投薬の履歴を参照することが可能となっているが、さらに、「電子処方箋」が整備されれば、患者の処方箋情報をリアルタイムで把握することが可能となり、重複投薬、重複検査等の効率化も可能となる。

以下、財務省より(2023年5月11日)
財政総論 (補足) 
財政各論3:こども・高齢化等


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