ニュースの要点
国立長寿医療研究センターは7月19日、心血管リスクレベルが比較的高い地域住民コホートにおいて、中高強度の身体活動だけではなく低強度の身体活動も脳の体積と関連するとの研究結果を公表した。
近年、高血圧や糖尿病、喫煙習慣など複数の心血管リスク因子を併せ持つ人は、将来の心血管疾患の発症率が高いだけでなく、認知機能低下や脳の萎縮、認知症発症の危険性が高いことが報告されている。一方で、日常の身体活動量を高く維持することは脳の健康に有益であると考えられているが、どの程度の強度の身体活動が有効なのか、また、心血管リスクが高い人であっても身体活動が脳に保護的に作用するのかについては十分に解明されていない。
本研究は心血管リスクが比較的高い集団であっても、運動やスポーツなどの強い身体活動だけでなく、「ゆっくりとした歩行」や「軽い家事活動」などの低強度の身体活動も脳の体積と関連することを見出した点が特徴。心血管リスクが高い地域住民にとって、低強度の身体活動量の維持は現実的で達成可能な目標として有用である可能性があり、地域における認知症予防戦略としての活用が期待される。