ニュースの要点
健康保険組合連合会は9月7日、「政策立案に資するレセプト分析に関する調査研究Ⅵ」を公表した。
1:コロナ禍の経験を踏まえた効率的な医療の推進(抜粋)
1-1.コロナ禍の経験を踏まえた効率的な医療の推進
- 国民の努力によって感染症が抑制されていることは、医療費の節減要因にもなっており、個人による感染予防行動やセルフメディケーションは引き続き重要。
- 精神科領域等においては、患者数の増加傾向が強まり、長引くコロナ禍や社会活動の変化が背景要因 として推察される。新型コロナウイルス感染症の位置づけが5類に変更されたことも踏まえ、新しい日常が本格化するなかで、患者数の動向を注視する必要がある。
- 「生活習慣病などの場合は、かかりつけ医を活用して自らの状態に対応した治療を選択する」 等の取組みを引き続き推進していくべき。
1-2.医薬品の使用状況を踏まえたセルフメディケーションの推進
- コロナ禍においてセルフメディケーションが進んだ可能性が示唆された薬剤があった。セルフメディケーションの活用につなげていくことは重要。
- セルフメディケーションのさらなる推進にあたっては、その実態を把握したうえで、OTC医薬品の使用促進に必要となる環境の整備を図るべき。
- セルフメディケーションの推進によって医療費の適正化も期待できることから、人口変動によるさらなる医療費の増加が見込まれるなか、OTC類似薬の保険給付範囲からの除外や保険給付率の見直しについて、想定される影響も踏まえた上で検討が必要。
2:かかりつけ医を起点とする安全・安心で効率的・効果的な医療の推進(抜粋)
2-1.かかりつけ医機能の実態に関する医療機関の傾向分析
- 診療報酬において、かかりつけ医機能に関する評価を行う際には、かかりつけ医機能を発揮するための適切かつ十分な体制および診療実績を要件として定めるべき。
→プライマリケアに関連する基本的な診療行為等を包括化し、体制や診療実績に応じて包括点数に メリハリを付けることが考えられる。
→機能強化加算を存続させる場合には、体制および診療実績を適切に反映した評価に見直すべき。
→体制および診療実績の要件の設定については、実態の検証が可能な指標とするべき。
2-2.日本におけるプライマリケアのアウトカム評価指標の試行的算出
- 日本でもアウトカム指標の導入に関する研究を推進すべき。
- かかりつけ医に対する診療報酬にアウトカム指標を活用する際には、診療実績等のプロセス指標を組み合わせた総合的な評価を検討すべき。
- 患者がかかりつけ医を選択する際の参考となるよう、アウトカム評価の見える化をすべき。
- 分析精度の向上のため、医科レセプトへの主傷病や併存症の正確な記載を徹底すべき。
3.糖尿病治療薬の不適切な使用の是正
- 糖尿病治療薬を糖尿病等の治療以外の目的で処方することは、薬事承認および保険給付の対象外であることについて、改めて医療機関に周知徹底するべき。
- レセプトデータと健診データを突合させる等、糖尿病治療薬の糖尿病治療目的外の使用実態をより正確に把握できるような対策を行い、悪質と考えられる事例を迅速に捉えることができるようにするべき。
- 安全性及び医療資源の有効活用等の観点から、適応外の使用を控えるよう国民全体に注意喚起を改めて行うべき。