ニュースの要点
AMR臨床リファレンスセンターは1月27日に、「令和時代のニキビ治療」を公表した。ニキビ治療の観点から薬剤耐性問題を考えるため、医療法人明和病院皮膚科部長・にきびセンター長の黒川一郎先生が解説している。
殆どの人が一度は悩む身近なニキビは薬剤耐性とどのような関係性があるのか、また、近年、ニキビ治療を取り巻く状況はどう変わっているのか。
ニキビは正式には「尋常性(じんじょうせい)ざ瘡」とよばれる、れっきとした皮膚疾患。思春期に多く発症し、「過剰な皮脂」「毛穴のつまり(面皰(めんぽう)」「アクネ菌の増殖による炎症」で悪化する。かつては炎症を抑える目的で抗菌薬中心の治療が行われていたが、現在では面皰を改善する外用剤が複数そろい、早期かつ根本から治すことが可能になっている。しかし皮膚科受診率は約16%*1と低く、自己流のケアで悪化させる人もまだまだ多いのが現状。また近年、抗菌薬に耐性をもつアクネ菌が増えており、その背景にはニキビ治療だけでなく、他科における抗菌薬治療の影響もあるのではないかといわれている。
*1 谷崎英昭ほか:日皮会誌130:1811, 2020
ニキビ治療と薬剤耐性菌の関係
【サマリー】
- ニキビの始まりは毛穴のつまり(面皰)、炎症が始まる前にできるだけ早く治療を開始
- 面皰に効く外用剤の登場で、早期からの根本治療が可能に
- 炎症がひどいニキビでは外用・内服の抗菌薬も使われる
- マクロライド系抗菌薬に耐性のアクネ菌が増えている
- 抗菌薬治療は「急性炎症期のみ」「中等症以上」「最長3カ月」が原則