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薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業No.3(2024年)【日本医療機能評価機構】

ニュースの要点

日本医療機能評価機構は3月28日、薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業の「共有すべき事例2024年No.3」を公表した。

  1. 薬の取り違え:バンコマイシン塩酸塩[調剤]
    • 事例は、薬剤師が、処方された薬剤とは投与経路の異なる同成分の薬剤が納品されたことに気付かず調剤し、患者に内服薬が静脈内投与された事例。
    • バンコマイシン塩酸塩は注射薬、内服薬ともにバイアル製剤であるが、バンコマイシン塩酸塩散0.5g「明治」は経口用と認識できるよう、薬瓶ラベルに「経口剤」及び赤地に白文字で「禁注射」と表記されている。薬剤を取り扱う際は、薬剤に記載されている注意事項も確認することが重要である。
    • 本事例では、発注時と納品時の確認不足が誤交付の要因となっている。薬剤を電話で発注する場合、改めて発注書を作成してFAXするなど、伝達の間違いが起きないように発注の手順を定めておく必要がある。また、薬剤が納品された際には、発注書と納品伝票を照合することが重要である。
  2. 処方箋の「リフィル可」欄の見落とし:ロスバスタチン錠[調剤]
    • リフィル処方箋は、患者の負担軽減、国の医療費削減などの観点から2022年に導入された制度。
    • 本事例は、薬剤師がリフィル処方箋であることに気付かず、通常通りに調剤しようとした事例。本事業には、薬剤師がリフィル処方箋であることに気付かず、患者の薬物療法が中断し、病状が悪化した事例も報告されている。
    • 処方箋を応需した際に「リフィル可」欄を確認することを手順に定め、遵守することが重要である。
  3. 副作用の発現:エチゾラム錠 [疑義照会・処方医への情報提供]
    • 本事例は、薬剤師が認知症患者の家族から、患者の暴言や被害妄想に悩まされていることを聴取し、処方医やケアマネジャーに情報提供を行った事例である。認知症患者の周辺症状(BPSD)について医療・介護従事者や家族などが情報を共有し、連携して対応することは重要である。
    • ベンゾジアゼピン系抗不安薬は、認知症患者の周辺症状(BPSD)の悪化や発現に関与する可能性がある。一方で、ベンゾジアゼピン系抗不安薬の急激な減量および中止により、痙攣発作、せん妄、振戦、不眠、不安、幻覚、妄想等の離脱症状が発現することがあるため、慎重に対応を検討する必要がある。
    • 認知症患者が来局した際は、薬剤師は、来局時の患者や家族を観察し、「困っていることや、気になることは他にはありませんか。」と声を掛けるなど、積極的に情報を収集し、薬物療法の支援を行うことが求められる。
出典:日本医療機能評価機構ホームページ
https://www.yakkyoku-hiyari.jcqhc.or.jp/pdf/sharing_case_2024_03.pdf

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