ニュースの要点
日本医療機能評価機構は10月26日、薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業の共有すべき事例「2026年No.10」を公表した。
- 不適切な薬剤変更(薬剤の組成・性状):リンデロン坐剤0.5mg[調剤]
- 坐剤は、処方内容や薬局の在庫状況により、2分の1個などに切断して使用することがあるが、製剤の性状や内容物によっては切断できないものがあることに注意が必要である。坐剤を切断して使用する場合は、単に含量が同等になるかだけで判断せず、切断できる製剤であるか処方監査時に確認することが重要である。
- 切断できない坐剤については、薬局内で情報を共有したうえで、薬品棚への「切断不可」の表示、調剤監査支援システムへの注意事項の登録など、調剤時に注意を促す仕組みを整備することが再発防止につながる。
- 本事例では、患者の待ち時間を長くしたくないという思いから、薬剤師は製剤の性状を確認することなく「坐剤は切断できる」と判断していた。医師への誤った処方内容の変更依頼はかえって時間がかかることになるため、処方変更の提案が正しいか事前に確認する必要がある
- 処方医への不適切な情報提供(併用禁忌): ベルソムラ錠15mg[疑義照会・処方医への情報提供]
- 本事例は、薬剤師が、ベルソムラ錠の添付文書の禁忌に記載された配合剤のラベキュアパックの一般的名称「ラベプラゾール・アモキシシリン・クラリスロマイシン」を見て、ラベプラゾール単剤も併用禁忌であると誤認し、処方医に誤った情報を提供した事例である。
- クラリスロマイシンは、ベルソムラ錠の有効成分であるスボレキサントの代謝酵素(CYP3A)を強く阻害し、スボレキサントの血漿中濃度を顕著に上昇させる。そのため、クラリスロマイシンはベルソムラ錠と併用禁忌であるが、ラベプラゾールはベルソムラ錠と併用禁忌ではない。添付文書の禁忌には配合剤の一般的名称が記載されている場合があり、その場合、併用禁忌に該当しない配合剤の構成成分も記載されることがあるため注意が必要である。
- 本事業には、添付文書の禁忌に記載された配合剤の一般的名称を誤認し、誤った疑義照会を行った事例が複数報告されている。誤認しやすい添付文書の記載について改善が望まれる。
- 本事例のように、本事業に報告した薬局が処方医へ誤った情報提供を行ったことに気付いていない事例も報告されている。疑義照会や処方医への情報提供を行う前に提供する情報が 正しいか確認することや、行った後に提供した情報の適否を再確認する機会を設けることなど、疑義照会に関する手順を具体的に検討する必要がある。


(https://www.yakkyoku-hiyari.jcqhc.or.jp/pdf/sharing_case_2026_10.pdf)


